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三宅一生ディレクション「XXIc.- 21世紀人」

来源: 作者: 时间:2008-04-12 Tag:
東京・六本木の21_21 DESIGN SIGHTにおいて、第3回企画展 三宅一生ディレクション「XXIc.- 21世紀人」が開催されている。本展の企画は、三宅氏自らが発起人となり1年以上の年月をかけて練り上げてきたものだ。会見の席で、三宅氏は「21世紀人」の展示の経緯についてこう語った。


「時代は21世紀に入り数年が経ちましたが、以前に私たちが描いていた理想の21世紀とは違い、知らず知らずに多くの問題を感じながら生きています。その問題と向き合い解決しようと思った時に、最初に浮かんできたのがイサム・ノグチの作品です。この『スタンディング・ヌード・ユース』は、1930年代に北京で描かれた作品。日本人とアメリカ人との間に生まれたノグチが、自分のルーツを探るために渡った旅の途中で描かれたものです。その後、アメリカでティム・ホーキンソンが描いたドラゴンと出会います。自由な発想の作品を見て、自分の中でアイデアが広がってきた。

そしてロン・アラッドの作品『ピザコブラ』。これは、金属をスパイラル状にした照明器具なのですが、新しいテクノロジーを使った次世代のアートです。これを見た時に、『星の王子様』のウワバミをイメージした。そこでこのコブラは展示の案内役になるよう設置しました。最初はこの3人の作品をガイドにして、新しい世代の作家を起用し、今抱えている問題を前向きにとらえ解決していく方向を探っていきました」

展示は全部で11の作品からなる。作品は一つひとつすべて意味があるものだが、順路通りに進むと「恐怖から希望へ」という一連のストーリーが連なる展示構成になっている。構成は、アメリカ人アーティストのデュイ・セイドが手がけた。

ティム・ホーキンソンの『ドラゴン』、ロン・アラッドの『ピザコブラ』を経て暗闇の中へ。三宅一生による『21世紀の神話』の空間が広がっている。鬱蒼とした森のような空間の中には、ところどころに女性のモチーフが存在する。鑑賞者は、森の中をうろうろと歩き回り、女性たちに出会う。楽しそうに踊っている娘、蝶を放つ娘、絵画のワンシーンのように、その背後に存在する物語を想像して楽しむことができる。


三宅一生『21世紀の神話』 Photo(c) Masaya Yoshimura / Nacasa &Partners Inc.

「最初にお話したイサム・ノグチと、ティム・ホーキンソンの作品からインスピレーションを得て、21世紀の神話を考えていく時に出てきたのが、日本の古い神話の『ヤマタノオロチ』と、ストラヴィンスキーの『春の祭典』でした。現在の環境問題が深刻になると、これから40、50年後には服をつくる資源がなくなってしまうかもしれない。今の時代は、この森の中のように渾沌としている。この作品を見て、我々はどういう時代に生きているのだろう、と考えてもらえたらと思います。同時に、決してペシミスティックにならず、切り抜けていく方法を掴み取ってもらえたらうれしい」(三宅一生

作品に使われている素材は紙。「プリーツ プリーズ イッセイミヤケ」の製造工程で使用された、廃棄前の紙を8人の娘たちのボディと衣服に再利用した。会場中を覆い尽くす森や、娘のボディ作りはすべてスタッフが手作業で作り上げ、壮大なスケールの作品に仕上がった。

さらに進むと、デュイ・セイドによる『スティックマン』が佇み、身体というものについて考えさせられる。そして、奥ヘと歩みを進めると、日本初公開となるイサム・ノグチの『スタンディング・ヌード・ユース』が立ちはだかる。


イサム・ノグチ『スタンディング・ヌード・ユース』

中国近代絵画の巨匠画家・斉白石のもとで修業をしたノグチが取り組んだのは、人間の裸体像だ。東洋と西洋の間で揺れる自我を見つめ直すのに格好のモチーフが人体だったのだろう。およそ100点ほど作成されたうちの一点がこの男性裸体像だ。静かに立っている男性の内部には、力強い線が走っている。人間そのものが持っている、内に秘めたエネルギーを感じずにはいられない。

パッと会場が明るくなって、現れるのはnendoによる『キャベツチェア』だ。ディレクターの三宅氏曰く「nendoは難しいお題を出せば出すほど、さらりとやってのけてくれる希有な人」というnendoに突きつけられたテーマは、「『プリーツ プリーズ』の製造工程で出てくる紙を用いた作品」だ。


nendo『キャベツ・チェア』

そして、21世紀の新しいものづくりという本展に通ずるテーマがある。素材とテーマが決められた上での作品。それは、ごくごくシンプルな椅子を作ることだった。紙を重ねて筒状に巻き、根元を固定して上部分から紙を割いて開いていく。チアガールが使うポンポンを作る要領に近いのだろうか。プリーツ状になった紙はふんわりと重ねられていき、丸い椅子となって生まれ変わった。家具作りの方法論を覆す、新しい椅子といえる。

さらに歩みを進めると、ロボットのような人間のような形のオブジェがさまざまなポーズをとっている姿がある。藤原大+イッセイ ミヤケ クリエイティブルームによる『ザ・ウィンド』は、昨年の秋に発表された「DYSON A-POC」というシリーズに端を発し制作されたものだ。


イッセイ ミヤケ クリエイティブルーム『ザ・ウィンド』


「DYSON A-POC」というのは、ダイソンクリーナーのパーツを一度すべて分解し、それぞれの部品を服のパーツに置き換えたシリーズだ。作品は、2つのブースに分かれており、「DYSON A-POC」の制作工程が分かるよう、使用されたパーツとそこから起こされた紙のパターンが並べて展示されていた(下写真)。


「ここに展示されているのは、実物の2分の1の型紙になります。最初の工程としては、ダイソンのクリーナーをすべて分解して『この部分はスカートに使える』とか、『ここはジャケットに』とスタッフ全員で想像を膨らませていきます。そして、そのフォルムを実際の服に仕立てるためにパターンを起こします。モチーフに使われている柄やポケットの形、『DYSON A-POC』で使用されているすべてのフォルムはダイソンのクリーナーのパーツを再構成したものです。それがA-POCの技術で1枚の布になって織り上げられていくのです。今回の展示に合わせて、洋服を着るボディ(=人体)をすべてダイソンのパーツで仕上げました。ボディのポーズは、パスタを食べていたり、新聞を読んでいたり、子どもを抱いていたり、すべて日常の風景をモチーフにしています」(イッセイ ミヤケ クリエイティブルーム)


ダイソンのクリーナーという一つのプロダクトは、人が身にまとう衣服となり、衣服を身にまとう人体となって再構成される。それは、モノが溢れあらゆる表現が出尽くしたように思える現代において、既存の情報を再構成し新しい表現を探っていく。まさに今の時代のものづくりの考え方を表していると言えよう。そして、「ザ・ウィンド」(=風)というテーマには、ファッションとアート、デザインを縦横無尽に駆け巡る、そして時には前から、時には後ろから吹いてくる風のようにさまざまな局面から物事を見据えるという意味が内包されているのだ。

「ものづくり」とそこに関わる「人」の存在を再認識させられ、次の展示へ。ロンドン在住のアーティスト、ベン・ウィルソンによる「モノサイクル」だ。小さな頃、初めて補助輪なしの自転車に乗れた時の心躍る記憶を呼び覚ましてくれる。彼がこだわったのは一輪車だ。


ベン・ウィルソン「モノサイクル」


彼曰く、「自転車が開発された19世紀当時の最終目標は、一輪の自転車だった。しかしそれは残念ながら浸透しなかった。ここで疑問に思うのが、現在その開発が何故行われていないか、そして一輪車という存在がなぜ消し去られているのかということ。一輪車は二輪車の代わりは務められないかもしれない。しかし、一輪車に乗ることで、人の身体が成し得る可能性が非常に大きいことを感じてほしい」


究極にシンプルなパーツからなる美しいフォルム。会場では、実際にベンがモノサイクルに乗っている映像が流されている(下の映像)。現実的には、やはり二輪車よりも乗るのが難しい一輪車だが、これに乗る事で自分の身体の新しい可能性に気付く。

中庭にも作品が展示されている。鈴木康広による「はじまりの庭」だ。枝や根を想起させるオブジェの先を見ていくと、その下にはくりぬかれた切り株があり、そこには水が溜まっている。


鈴木康広「はじまりの庭」


雨が枝を伝って落ちていくのではない、鈴木は空気中にある水が気温差によって液化する「結露」という自然現象に着目した。空気中にあるわずかな水分を、熱伝導に優れた銅製の枝が捉え、枝先まで水が伝ってゆく。そして、ぽとりと切り株に水滴が落ちると、そこには波紋が広がる、まるで木の年輪を描いていくように。鈴木は「意図的に水を流すのは意味がない。実際に結露と対面できるその瞬間の大切さも含めて感じとってもらえたら」と語る。

そして、関口光太郎の「明るい夜に出発だ」が鎮座する吹き抜けへ。彼は1983年生まれで、今回参加した中で最も若い作家である。トーテムポールのような、7メートルを超える彫刻作品は、すべて新聞紙とガムテープで作られている。これは、作家が小学校4年生の時に両親から夏休みの工作を作る時に両親から教えてもらった手法なのだという。関口は、現在養護学校の教師をしながら夏休みや週末などの時間を使って、こんなにも大きな作品制作に挑んだ。


関口光太郎「明るい夜に出発だ」


「三宅さんから託されたキーワードは『希望』。それを自分なりに解釈し『変身』をテーマに作品を制作しました。1本の木の下には幼虫がいて、だんだん登っていくうちに孵化をして、最後に飛び立っていく。そんな姿を表しました。『ナショナルジオグラフィック』などの雑誌や写真を見ながら、木の空いている場所にモチーフを作り上げていく。一つひとつのモチーフには大きな意味をもたせずに、フォルムとしての美しさを追求していきました。あとは手の感触を信じて純粋に楽しみながら作りました」(関口光太郎)

大きな木には、ネイティブアメリカンの顔があったり、かまきりが突如として表れたり、自転車に乗っている人がいたり…まさに自由奔放なフォルムの数々だ。しかし、少し離れて見たり、上から見ると、まったく違う印象。どんどんと上に登っていく、ポジティブなパワーが充ち満ちている。
「さまざまな手法を試していく中で、いちばん安くて簡単に作り直しができて、自分の指先と一体となれる素材。それが新聞紙とガムテープだということに気づいた。自分の作品はコンセプチュアルではない。頭ではなくて手で考える」という発言に、ものづくりの原点を思った。作品を見ていると、アーティストたちの根幹にあるものづくりの楽しさを感じさせてくれる。最後に、三宅一生氏の言葉を。

「20世紀は、デザイナーやアーティストやものづくりというものを含めて、すべての人間を消費者にしてしまった。そんな中で21世紀のものづくりを再考しました。会場内は敢えて余計な説明は入れずに、見る人たちが自分の考えと照らし合わせて楽しんでいただけるように構成しています。参加してくれた作家たちは、本当に楽しそうに仕事をしてくれました。手を使って、身体を使って、頭を使って楽しむ。そういったものづくりについて、何か感じていただけたら幸いです」

アートとデザイン、その二つに通ずる「ものづくり」をあらゆる方向から探っていく「21世紀人」。作品一つひとつと向き合い、これからのものづくりを考える。もちろん答えはすぐには出せない、ひょっとしたらないのかもしれない。しかし、その議論の発端を作るということが大切なのだ。7月6日まで開催。

第3回企画展 三宅一生ディレクション「XXI c. ― 21世紀人」
21_21 DESIGN SIGHT
開催中~7月6日(日)
Open.11:00~20:00(入場は~19:30)火休(4月29日と5月6日は開館)
東京都港区赤坂9-7-6 東京ミッドタウン・ガーデン内
お問い合わせ:tel.03-3475-2121

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